フラッシュメモリは、データの読み書きができる記憶媒体の一種で、
記憶したデータは電源を切ってもそのまま消えずに残り、データの消去が一瞬でできるという特徴があります。
フラッシュメモリにはNAND(ナンド)型とNOR(ノア)型があり、一般的にフラッシュメモリはNAND型のことを指します。
フラッシュメモリのデータ保存の仕組み
フラッシュメモリへデータを記録する最小単位は「セル」と呼ばれており、データ保存のイメージをNAND型フラッシュメモリの例で概説すると、
まず、データは「フローティングゲート」に記憶されます。
「フローティングゲート」に電子を蓄えたり放出したりすることでデータを記録・保存します。
「フローティングゲート」にデータを書き込んだり消去したりするときに、電子が「トンネル酸化膜」を突き破って移動するため、「トンネル酸化膜」が劣化します。
「トンネル酸化膜」が劣化してくると、「フローティングゲート」から電子が漏れてしまい、正しいデータを記憶できずに寿命を迎えるのです。
フラッシュメモリ個々のセルの寿命としての目安は、書き込みと消去の回数が1千から1万回程度と言われています。
フラッシュメモリにおけるNAND型とNOR型の違い
NAND型フラッシュメモリ
AND型フラッシュメモリは不揮発性記憶素子の半導体で東芝が1987年に開発しました。
各セルが直列に接続されていて、セル単位ではなくブロック単位でアクセスするため1ビット単位での読み取りはできません。
ランダムアクセス(直接アクセス)の読み取りは低速ですが、書き込みは高速です。
NAND型は高集積化できるためSSD(Solid State Drive)として使われています。
NOR型フラッシュメモリ
大容量化には向いておらず容量あたりの価格がNAND型よりも高額です。
各セルが並列に接続されているため、1ビット単位の読み取りが可能。
ランダムアクセス(直接アクセス)読み取りは高速ですが、書き込みは低速です。
NOR型はデジタルカメラ、プリンター、ルーター、スマートフォンなどで採用されています。
NAND型フラッシュメモリに使われる4種類の記録素子について
NAND型フラッシュメモリは、記録素子として大きく4種類あります。
SLC(Single Level Cell)
SLC(Single Level Cell)は、1つの記録素子に1ビットのデータを書き込むもので、耐久性が非常に優れているため企業向けに販売されているものが多く高価です。
MLC(Multi Level Cell)
MLC(Multi Level Cell)は、1つの記録素子に2ビットのデータを書き込むもので、耐久性に優れていることから、ハイエンドユーザー向けのものが多くSLCよりは価格が低い傾向がありますが、それでも高価です。
TLC(Triple Level Cell)
TLC(Triple Level Cell)は、1つの記録素子に3ビットのデータを書き込むもので、実用上は十分な耐久性があるため、一般向けに販売されていて安価です。
QLC(Quad Level Cell)
QLC(Quad Level Cell)は、1つの記録素子に4ビットのデータを書き込むもので、耐久性は劣るものの、実用上は使えるために一般向けに販売されていて、価格は安価な傾向にあります。
SSDのメリット
HDD | SSD | |
容量 | ○ | ◎ |
---|---|---|
速度 | ◎ランダムアクセスに優れている | ○アクセス性能は頭打ち |
価格 | △高性能タイプは単価が高い | ○低価格、大容量化が進んでいる |
省電力 | ◎駆動しないため省電力 | ×駆動するため電力を使い発熱する |
サイズ重量 | ◎チップのため小型軽量 | ×駆動部分があるため重く小型化しにくい |
耐衝撃性 | ○駆動部分がなく故障しにくい | ×駆動中は衝撃や振動に弱い |