遅い!重い!VDI(仮想デスクトップ)の性能問題と解決方法は?

仮想デスクトップで性能が確保できない理由とは?

仮想デスクトップでは、複数の端末からのアクセスがひとつのサーバーに集中することから、レスポンスが悪くなってしまうことが少なくありません。朝の始業時など、社員が一斉に仮想デスクトップを立ち上げる時間帯にはこの問題が特に目立ちます。
このような仮想デスクトップの性能問題を回避するために重要なのが、サーバーの選定です。ユーザーごとのリソース消費量、記憶領域へのアクセス頻度など、想定される利用状況を調査したうえで、ストレスなく利用できるサーバーを導入する必要があります。大規模な仮想デスクトップ環境を構築する場合は、とりわけ詳細な調査が必要です。
オンプレミスで仮想デスクトップ環境を構築する場合は、自社でこうした調査を行う必要があります。しかし、実際には十分な検証を行わないまま導入してしまうケースが多く、仮想デスクトップはパフォーマンスが問題という評価が多くなっていました。

サーバースペック強化で性能は確保できる?

こうした問題を解決する最も単純な方法がサーバースペックの強化です。アクセス集中に耐えうるサーバースペックがあれば負荷増大によるレスポンスの低下はありません。仮想デスクトップの性能はサーバースペックにかかっているとも言えます。
しかし、実際にはサーバースペックを向上させようとするとコストが増大することから、どんな負荷にも耐えうる仮想デスクトップを実現するのは簡単ではありません。仮想デスクトップを利用する人数が多い組織では、特にこの問題が顕著になります。また、利用人数が多いほどアプリケーション環境の把握が難しく、サーバーのチューニングが困難になっていきます。
最近は、サーバーコストが下がってきていることから徐々にこの問題は解消しつつありますが、自社に必要なサーバースペックを見積り、サーバーチューニングを行っていくのは難しく、パフォーマンスに不安が残ることも多いようです。

クラウド型仮想デスクトップのメリットは安定性?

こうしたなかで登場してきたのが、クラウド型の仮想デスクトップです。サーバーを自社で用意しなければならないオンプレミス型の仮想デスクトップに対し、クラウド型ではサーバーを用意するのはサービス提供事業者側です。ストレスのない仮想デスクトップを提供するために、サービス提供事業者では大規模なサーバーを用意しており、パフォーマンスを出すためのチューニングノウハウも有しています。
確かに一般的なクラウド型仮想デスクトップのサーバーがハイスペックなことは事実ですが、どのような利用状況でもストレスのない環境が約束されるわけではありません。たとえば、ビッグデータを分析するシステムやCADソフトなどのアプリケーションでは負荷が大きく、やはりレスポンスの低下が起きがちです。また、OSやアプリケーションのバージョンアップによって、それまで安定していた動作が不安定になってしまうことも少なくありません。
その利便性が注目され「クラウドを導入すれば業務効率が向上する」と考えられていますが、「ひとつのサーバー」をシェアするという仮想デスクトップの仕組みはオンプレミスでもクラウドでも同じです。負荷に対してスペックがともなっていないサーバーであれば、クラウド型仮想デスクトップでもやはりレスポンスの低下は起きてしまいます。

ベンダー選びが性能確保のカギとなる?

オンプレミス型の仮想デスクトップでは導入と運用の手間が問題となります。それらを解決するソリューションがクラウド型の仮想デスクトップですが、メリットばかりではありません。仮想デスクトップの性能は、サービス提供事業者が用意しているサーバーのスペックに依存しています。
クラウド型仮想デスクトップ導入後の性能を確保するためには、利用人数、利用する時間帯、起動するアプリケーションなど事前に詳細な検証が不可欠です。自社の環境で本当に最適なパフォーマンスが確保できるのかをどこまで検証してもらえるかによって、運用後のパフォーマンスは大きく変わってくるでしょう。
また、アプリケーションの更新やバグ、エラーで不安定になることは、クラウド型仮想デスクトップでも少なくありません。トラブル時にいかに親身になって解決を支援してもらえるかが、クラウド型仮想デスクトップのサービス提供事業者を選ぶ重要なポイントと言えます。