KVAとWについて 何が違うのか?

電源容量を計算

国内のデータセンターで利用されているコンピューターの多くは、交流100Vを利用するように設計されています。そのため、コンピューターと同一の環境で利用されるネットワーク機器も多くが交流100Vを利用するように設計されています。
データセンターでは、ラックごとに電源容量が決まっており、A(アンペア)、W(ワット)、VA(ボルトアンペア)などで示されています。

力率について

WはVAに力率を掛けたものです。力率が60%の場合、W=VA×0.6という式で導き出すことができます。

力率とは、有効に使用できる電気がどれくらいかを示す値のことです。そして、交流電源における「皮相(ひそう)電力」と「有効電力」の比率を示しています。機器の特性により力率は異なりますが、力率まで表示した機器はあまり見受けられません。
※計測すると、力率60%~80%という値が一般的です。

ここでいう有効電力は「W」という単位で表現され、実際に電気機器で使用される電力を表します。皮相電力は「VA」という単位で表現され、「有効電力」と電力会社から供給される電力のうち、何の仕事もせずに発電設備に戻ってくる「無効電力」を合成した電力のことを言います。

皮相電力(VA)= 有効電力(W)+無効電力(W)

それでは、これらの値を駆使して、ラックで必要な電力量を計算していきましょう。
※入力電圧・定格電流(最大消費電力のこと)は該当機器の表示を確認してください。

(例)

入力電圧定格電流
サーバーA100V10A
サーバーB100V200VA

上記の例で必要な電力量を計算してみます。
まず、すべての単位を合わせます。
また、力率は70%であると仮定します。

サーバーA:100V×10A=1000VA
サーバーB:200VA
となり、合計で1200VA=1.2kVAが定格電力上の必要な電力となります。

実際に運用するとなると、ここから、コストやラックに搭載する機器台数を考慮して最適な電力を計算する必要があります。

突入電量を知ろう

例で計算した定格電力とは、電力を消費する電気機器の最大消費電力です。実際には、そのような電力を使用することはほとんどありません。

例を挙げると、機器にオプションを最大限に積み込み、メモリー満載、HDD満載でフル回転、ファンもフル回転、通信も回線容量を最大限に使用し、さらにCDドライブなども使用する。そのような状況が同時に起きて、初めてこの最大電力が発生する可能性があるというレベルです。
実は、実際に運用上必要とされる電力を導き出すことはほぼ不可能です。一般的には、電源投入直後にストレージが起動し、ファンを最大限に回して起動処理が始まった後に安定動作に入ります。そのため、電源投入直後は(安定動作時)と比較して、より多くの電力が必要になります。この電源投入直後の電力を「突入電力」と呼びます。
安定動作時の機器の必要電力は、一般の業務用であれば定格電力の50%以下となることが多いようです。

一方で、最近ではAIや高度な画像処理で常に多くの電力を使う機器も増えていますので、利用方法は意識しましょう。

突入電力の問題点

ここで問題となるのが、突入電力の値をどのように計算すればよいかです。上記から、電源投入直後は通常時と比較して、より多くの電力が必要であるということが分かりました。そのため、この突入電力をうまく回避できれば、安定した電力でラック全体の電力を計算することができます。つまり、回避できないとブレーカーが動作し、ラックの停電が発生してしまいます。

では、実際にどうすればよいのでしょうか?

それには、ラックに搭載している機器の電源を一斉に投入せず、時間をおいて順番に電源を投入します。そうすることで、突入電力の問題は回避できます。

停電やブレーカーによる電力断の後は、電力が回復すると同時に一斉に機器が立ち上がります。そのため、突入電力による電力のオーバーフローが起きてしまいます。停電が発生し、機器が同時に起動することで再度ブレーカーが動作し、電源が落ちる場合があります。そのような場合、機器側にも影響がでる可能性も考えられます。(複数回PCの電源をいきなり抜くことをイメージしてみてください)

あるデータセンターでは、電源系統断からの自然復旧などによる障害のループは、お客様各社と調整のうえ、段階的に過負荷とならないよう担当エンジニアなどの電源投入により回避しています。

それでは、先ほどのサーバーA、Bで安定運用時の合計電力を計算していきます。

入力電圧定格電流有効電力
サーバーA100V10A1000VA
サーバーB100V200VA200VA

力率70%、必要電力40%と仮定します。

サーバーA:1000VA×0.4=400VA
サーバーB:200VA×0.4=80VA
となり、合計で480VAとなります。

注意点としては、これは計算上の必要電力のため、導入後は実際に電力を測定することを忘れないようにする必要があります。

まとめ

今回はIT機器を運用するために必要な電源容量の計算や実際に利用する場合の考え方についてご紹介しました。
消費電力kVAは、一般の方には馴染みがない単位ですが、一般家庭でもオール電化などの多くの電力を使う場合の契約で用いられることもあります。

kVAについて、理解は深まりましたか?

  • 実際に消費する電力(有効電力)をWという
  • 無駄に消費されるものや消費されないものを含んだ電力(皮相電力)をVAという
  • 電力をどれだけ有効に使えるかを示した値を力率(W÷VA)という

コメントする