Googleは、Kubernetes上でサーバレス基盤を構築するオープンソースソフトウェアの「Knative」(ケイネイティブ)を、Cloud Native Computing Foundation(以下、CNCF)に寄贈すると発表しました。
Knativeは、Kubernetesの上でイベントをトリガーにしてコンテナを実行し、負荷に応じてコンテナの実行数をゼロから任意の数にまで自由に増減させる、いわゆるサーバレスコンピューティングの基盤を構築できます。
2018年にGoogleがオープンソースとして発表し、同社が主導して開発を進めてきました。先月11月にはバージョン1.0に到達しました。
と同時にKnativeはGoogle Cloudのサーバレスコンピューティングサービスの1つであるCloud Runの基盤ソフトウェアとしても使われています。
参考:Googleの「Cloud Run」が正式サービスに。KnativeベースでDockerコンテナをサーバレスとして実行
やや意外だったKnativeのCNCFへの寄贈
GoogleはKubernetesをオープンソースとして発表し、2015年にバージョン1.0に到達した後、その開発主体として独立した団体であるCNCFの設立に関与したことで、Kubernetesをクラウドネイティブなコンピューティング基盤として成功させてきた実績を持っています。
参考:Kubernetesが1.0に到達。今後は開発の主体を新団体「Cloud Native Computing Foundation」へ
一方でKnativeについてはCNCFへの寄贈についてはずっと消極的とみられていたため、今回のKnativeのCNCFへの寄贈発表は意外とも見えます。
すでにCNCFではKubernetes上でサーバレスを実現するKEDAが2020年に採択され、開発が進められています。
参考:Kubernetes上でサーバレス環境を実現する「KEDA」がCNCFのプロジェクトに採用。サーバレスの標準化は進むか
このKEDAはマイクロソフトがMicrosoft Azureのサーバレス基盤として採用しています。
参考:マイクロソフト、コンテナをサーバレスで実行する「Azure Container Apps」発表。KEDAとDaprを採用。Ignite 2021
こうしたなかでKnativeのCNCFへの寄贈が発表されたわけです。
まだCNCFがKnativeをインキュベーションプロジェクトとして採択するかどうか発表されてはいませんが、おそらく採択されると予想されます。
いまのところ、サーバレス基盤はAWSがLambda、GoogleがKnative、マイクロソフトがKEDAと主要なクラウドベンダはそれぞれ互換性がない状態が続いています。引き続きこの状態は続きそうです。