分散PostgreSQLをAzure Cosmos DBが提供開始、オープンソースの分散DBエンジン「Citus」を採用。

マイクロソフトは現在開催中のイベント「Microsoft Ignite 2022」で、グローバル規模の分散NoSQLデータベース「Azure Cosmos DB」でPostgreSQLをサポートする「Azure Cosmos DB for PostgreSQL」を発表しました

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Cosmos DBはデータを自動的にユーザーの近くのリージョンにレプリケーションすることで、どのユーザーに対しても高速なデータベースアクセスを実現し、かつグローバルな規模で稼働する大規模分散NoSQLデータベースです。

最大で数ペタバイトのデータ容量と秒間数百万トランザクションまでスケールする性能をカバーできる点を特徴としています。

Azure Cosmos DB for PostgreSQLは、このCosmos DBのデータベース基盤の上でPostgreSQLと分散データベースエンジンを実装したものです。

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Azure Cosmos DB for PostgreSQLのPostgreSQLはつねに最新バージョンを提供し、新たなバージョンのPostgreSQLが登場した場合には2週間以内に対応することが表明されています。

Microsoft Azureのクラウド基盤を活用し、複数のアベイラビリティゾーンをまたがる高可用性構成の設定、特定の時点へのリストア、ワンクリックによる最新のPostgreSQLへのアップグレードなどが可能です。

そして小規模なデプロイからスタートし、必要に応じて分散データベース機能を有効にして、さらにグローバル展開が要求されるようになればクロスリージョンでのレプリケーションを有効にすることでグローバルでの高可用性や低レイテンシなどの実現へと拡張していくことができます。

オープンソースのCitusを分散データベースエンジンとして採用

Azure Cosmos DB for PostgreSQLで採用されている分散データベースエンジンには、オープンソースのCitusが採用されています。

先月リリースされた最新版のCitus 11.1では、分散したテーブルを並列処理で作成し、稼働中であってもテーブルをシャードで分割してバックグラウンドで負荷を分散する機能などを備えることで高いスケーラビリティと並列処理などをPostgeSQLにもたらします。

マイクロソフトは2019年1月にこのCitusの開発元であるCitus Dataを買収しており、CitusによってAzure上のPostgreSQLを強化すると約束していました。今回その約束が果たされたことになります。

参考:マイクロソフト、PostgreSQL用の分散DBエンジンをオープンソースで開発するCitus Dataを買収。Azure上のPostgreSQLサービスを強化

Azure Cosmos DBは前述のように分散NoSQLデータベースですが、今回発表されたAzure Cosmos DB for PostgreSQLによって、開発者はスケーラブルで高速なNoSQLとリレーショナルデータベースを同じデーターベース基盤から利用できる利点が得られるようになったとマイクロソフトは説明しています。

Azure Cosmos DB for PostgreSQLは正式サービスとして提供が開始されており、Azure Cosmos DBの無料枠での利用も可能です。