Docker社は、Docker HubのOCI Artifactsサポートを発表しました。これによりDocker HubにHelmチャートやWebAssemblyモジュール、Docker Volumesなど、Dockerコンテナイメージ以外にもさまざまな成果物を保存し、取り出すことができるようになります。
OCI(Open Container Initiative)は、Dockerコンテナの標準仕様を定めている業界団体であり、OCIイメージはDockerコンテナイメージの業界標準として広く使われています。
そしてOCIではDockerコンテナイメージだけでなく、Dockerコンテナとして実行することを想定していないイメージのパッケージングについても標準仕様を定めています。それがOCI Artifactと呼ばれています。
このOCI Artifactに従ってさまざまなソフトウェアやバイナリをパッケージングしたものをDocker Hubに保存し、取り出せるようになりました。この利点をDocker社は次のように説明しています。
Storing your artifacts in Docker Hub unlocks “anywhere access” while also enabling improved collaboration through Docker Hub’s standard sharing capabilities.
Docker Hubにアーティファクトを保存することで、そのファイルに「どこからでもアクセス」することが可能になり、Docker Hubの標準的な共有機能によってコラボレーションを向上できるのです。
つまりDocker関連の開発で必要なファイルの共有は、すべてDocker Hubを通じて行えるため、より便利にコラボレーションできるようになる、というわけです。
Docker Desktopは先日、WebAssemblyのサポートも発表されたところでもあり、Dockerコンテナ以外のイメージもDocker Hubで取り扱えるようになることで、WebAssemblyバイナリの保存なども今後行われていきそうです。
参考:Docker DesktopがWebAssemblyランタイムを統合。コンテナと同様にWebAssemblyイメージを実行可能に
OCI Artifactsのサポートは、すでにAmazon Elastic Container Registry(Amazon ECR)、Azure Container Registryでも始まっています。今後Docker HubをはじめとするDockerレジストリは、開発者にとってDockerコンテナイメージだけでなく、汎用のファイルレジストリとして使われていくことになるのかもしれません。